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東京地方裁判所 平成4年(ワ)10535号 判決 1995年12月14日

原告

安藤義士

右訴訟代理人弁護士

柏谷秀男

石黒清子

被告

インターナショナル通商株式会社

右代表者代表取締役

坂本好誠

右訴訟代理人弁護士

遠山秀典

高橋勝徳

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  原告の請求

一  被告は、原告に対し、金三〇一一万三〇三六円及びうち金二五七三万二〇七二円に対する平成元年三月二七日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用の被告の負担及び仮執行宣言

第二  事案の概要

本件は、信号機により交通整理の行われていない交差点を直進していたタクシーが、その左方から直進してきた普通乗用自動車に側面を衝突され、タクシーを運転していた原告が傷害を負ったことから、右普通乗用自動車を所有し、これを代車として第三者に提供していた被告に対し、自動車損害賠償保障法三条及び民法七〇九条に基づき、人的物的損害の賠償を請求した事案である。

一  争いのない事実等

1  本件交通事故の発生(甲一)

事故の日時  平成元年三月二七日午後一一時五〇分ころ

事故の場所  千葉県浦安市海楽一丁目二一番先路上

被害者    原告

被害車両   原告が運転する事業用普通乗用自動車(足立五五か九一三九。タクシー)

加害車両   訴外岩村良法(以下「訴外岩村」という。)が運転し、被告が保有する自家用普通乗用自動車(品川五八ら三五九八、以下「本件加害車両」という。)

事故の態様  原告車が、深夜降雨の中、信号機により交通整理の行われていない交差点(以下、「本件交差点」という。)を直進中、左方交差道路より進行してきた本件加害車両に側面を衝突された。

2  責任原因

被告が本件加害車両の所有者であることには争いがないが、本件事故について被告が自賠法三条の運行供用者責任を負うかどうかについては争いがある。また、原告は、被告が本件加害車両を代車として提供した以上、あらゆる事故を起こさないように監督すべき義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った過失があるとして、民法七〇九条の不法行為責任を主張し、被告は右義務を負っていたことを否認している。

3  損害の填補等

原告は、自賠責保険から一二〇万円の支払を受けた。

二  争点

本件の主たる争点は被告の運行供用者責任の有無であるが、原告の受傷の内容及び程度、損害額、原告と被告の負担割合についても争いがあり、当事者双方の主張は以下のとおりである。

1  被告の運行供用者責任の有無

(一) 原告の主張

被告は、訴外岩村が本件加害車両の運転を開始した後においても、これに対する運行支配及び運行利益を有していたものである。

すなわち、被告は、自社の車検整備業に付随するサービスの一環として、本件加害車両を、顧客である訴外有限会社かね欽商事(以下、「訴外かね欽商事」という。)に対し、代車として提供した。具体的には、訴外萩原新一(以下、「訴外萩原」という。)が、訴外かね欽商事の従業員である訴外塚本某(以下、「訴外塚本」という。)に頼まれて、訴外かね欽商事の車を運転して被告に届け、被告から本件加害車両を受け取った。訴外萩原は、訴外かね欽商事を経営する訴外宇田川清辰(以下、「訴外清辰」という。)と長年にわたり親しく交際していた者であり、訴外塚本とも顔見知りであった。訴外清辰は、訴外塚本に対し、本件加害車両の使用を許諾し、訴外塚本は、訴外萩原に対し、本件加害車両を使用させており、また訴外清辰も訴外萩原の使用を許諾していた。訴外岩村は、訴外清辰をはじめ宇田川家の者と家族同様に親しく交際していた者であり、本件事故当時は宇田川家に宿泊中で、訴外清辰、訴外宇田川都(以下、「訴外都」という。)及び訴外萩原の許可を得て、本件加害車両を運転していた。訴外萩原は、訴外岩村が本件加害車両を使用することを黙認していた。このように、訴外清辰、訴外都、訴外塚本、訴外萩原及び訴外岩村の間においては、本件加害車両の使用を日常的に容認する関係が存在していたところ、本件事故は、かかる状況下において、加害車両を一時借用していた訴外岩村が、宇田川宅へ行くためにその付近を走行中のわずか一〇分程度の間に発生したものである。以上のような、被告と訴外岩村との関係、加害車両の日常の運転管理の状況、運転の地理的範囲、運転時間、返還予定の有無等に鑑みるならば、被告は、依然として、運行供用者である訴外かね欽商事を通じて本件加害車両に対する運行支配を有していただけでなく、営業に付随するサービスの一環として本件加害車両を訴外かね欽商事に代車として提供することにより、自己の利益を上げ、本件加害車両に対する運行利益も享受していたのであるから、訴外岩村の運転についても、本件加害車両を自己のために運行の用に供していたものであり、自賠法三条の定める運行供用者責任を免れるものではない。

(二) 被告の主張

本件事故当時、被告には、本件加害車両に対する運行利益も運行支配もなかった。

すなわち、被告は、訴外かね欽商事に対し、車検整備の代車として本件加害車両を提供したところ、訴外かね欽商事の従業員である訴外塚本が、本件加害車両を、その知人である訴外萩原に貸与し、訴外萩原が本件加害車両を借り受けて使用中に、たまたまそのキーを机上に置いたところ、訴外岩村が、訴外萩原の知らない間に同人に無断でキーを持ち出して本件加害車両を運転し、本件事故を引き起こしたものである。以上からすれば、被告は、訴外かね欽商事に本件加害車両を代車として提供したのであるから、その従業員が運転することは承知していたものであるが、その従業員が知人(訴外萩原)に貸与することまで承知していたわけではなく、ましてやその知人の知人で、無免許、飲酒中の者(訴外岩村)が無断運転するなどということは全く予想外のことであり、本件事故当時、被告には、本件加害車両について、運行利益はもちろんのこと、運行支配がなかったことは明らかである。したがって、被告は、本件事故について責任を負うものではない。

2  原告の受傷の内容及び程度

(一) 原告の主張

原告は、本件事故により、頭部外傷、頸椎捻挫、腰部打撲傷、左肩挫傷等の傷害を負い、平成元年三月三〇日から同年一二月三一日までの間、好和病院(平成三年一月一日、聖コーワ病院に名称変更)に二七五日間入院し、また三一二日同病院に通院し、平成三年一一月五日から平成四年一〇月二六日までの間、国立病院医療センターに一五日通院し、また、平成四年二月一七日から同年三月二五日までの間、同病院に三八日間入院した。

(二) 被告の主張

原告車の後部座席に座っていた訴外清水敏雄がまったく傷害を負っていないこと、原告の被った頸椎捻挫の傷害は、むち打ち症の各種の症状の中で最も軽い症状であることから、原告の受傷と本件事故との間には因果関係がなく、仮に因果関係があるとしても、初期の治療の部分に限られるというべきである。

3  損害額

(一) 原告の主張

(1) 鍼灸治療費 三〇万四五六〇円

(2) 器具購入費 五一万九四〇〇円

(3) 入院雑費 三七万五六〇〇円

一日一二〇〇円、入院期間三一三日。

(4) 通院交通費 五八万九二〇〇円

好和病院への通院日数三一二日間につき、一日当たり一六〇〇円、国立病院医療センターへの通院日数一五日間につき、一日当たり六〇〇〇円。

(5) 物損 二五一万八二六〇円

(6) 休業損害

三四九一万九六五四円

平成四年一〇月二六日までの一一一七日間につき、一日当たりの損害額を三万一二六二円とする。

(7) 入通院慰謝料 二五九万円

(8) 後遺症逸失利益

一二四万二九六六円

原告の本件事故による後遺障害は、後遺障害別等級表一四級に相当する。右後遺障害による労働能力喪失率は五パーセント、労働能力喪失期間を三年間とし、中間利息の控除につきライプニッツ係数を用いる。

(9) 後遺症慰謝料 七五万円

(10) 弁護士費用

四三八万〇九六四円

(11) 損害の填補

一八〇七万七五六八円

(12) 合計 三〇一一万三〇三六円

(二) 被告の主張

仮に被告の運行供用者責任が認められた場合でも、以下のとおり、原告の損害は既払分で既に填補済みである。

(1) 鍼灸治療費 一六万五五一〇円(甲二二の1、2)

(2) 器具購入費 五一万九四〇〇円(甲五の1、2)。但し、必要性についての立証が十分でない。

(3) 入院雑費 三一万三〇〇〇円

長期の入院であることから、一日当たり一〇〇〇円で算定すべきである。入院日数三一三日。

(4) 通院交通費 立証がない。

(5) 物損 主張自体失当である。

(6) 休業損害

二一二一万〇九二〇円

原告の休業期間は、その症状が固定した平成四年五月三一日までとし、一日当たりの損害額は、一万円とすべきである。

(7) 入通院慰謝料 二〇〇万円が妥当である。

(8) 後遺症逸失利益 後遺障害が存在しないので、認められない。

(9) 後遺症慰謝料 (8)に同じ。

(10) 損害の填補 右(1)から(7)までの合計は、一五一九万七九一〇円であるところ、すでに一八〇七万七五六八円が支払われたのであるから、原告の損害は填補済みである。

4  原告と被告の負担割合についての被告の主張

本件事故当時、原告の頸椎には老人性の変形等があったほか、本件事故以前に何回もむち打ち症になっていることを考え合わせると、原告の損害は割合的認定の手法により算定すべきである。また、本件交通事故についても、原告にも一、二割の過失がある。

第三  争点に対する判断

一  被告の運行供用者責任の有無

1  前記争いのない事実及び証拠(甲一二、乙一ないし五、八ないし一一、証人玉野哲也、原告本人、弁論の全趣旨)によれば、以下の事実が認められる。

(一) 平成元年三月二〇日、被告は、訴外清辰及び訴外都が経営する訴外かね欽商事から、車の修理及び車検のための整備を請け負い、訴外かね欽商事に対し、右修理及び整備に要する期間の代車として、本件加害車両を無償で貸与した。その際、実際に訴外かね欽商事の車を被告に納めに行ったのは訴外萩原であり、同人が、被告に対し、帰りの足として代車を要求したため、被告は、訴外かね欽商事を相手方として、本件加害車両を貸し出した。被告としては、代車を貸し出す場合には、貸し出す相手方が会社であればその従業員、貸し出す相手方が個人であればその家族が代車を使用することは予期していたが、それ以外の者が代車を使用することは考えていなかった。

(二) 訴外萩原は、訴外清辰とは自宅が近く、中学生のころから、訴外清辰の家に遊びに行ったり、同人から食事を御馳走してもらったり、家に泊めてもらったりすることがあったが、訴外かね欽商事の従業員ではなかった。本件事故当時、訴外清辰は五〇歳前後、訴外萩原は、一九歳であり、訴外萩原は、昼間は訴外和協運輸株式会社で運転手として働き、夜間は、スナック「かこ」でアルバイトをしていた。本件加害車両は、訴外清辰宅に置かれ、訴外清辰は、訴外かね欽商事の従業員であった訴外塚本に、責任者としてその鍵を保管させ、訴外塚本は、毎晩、訴外萩原に対し、夜間のアルバイトへの通勤用に、本件加害車両を貸していた。訴外清辰もまた、本件加害車両を訴外萩原が運転することは承諾していた。

(三) 訴外岩村は、訴外萩原の中学時代の二年先輩であり遊び仲間であった。訴外岩村は、訴外宇田川紀久代、その家族である訴外清辰、訴外都と親しくしており、宇田川家によく泊まりに行くことがあったが、訴外かね欽商事の従業員ではなかった。訴外岩村は、本件事故当時、二一歳で無免許であった。

(四) 本件事故当日午後一〇時ころ、訴外萩原は、訴外清辰から本件加害車両を借り、訴外岩村を同乗させて、本件加害車両を運転し、アルバイト先のスナック「かこ」に行き、本件加害車両を同店前の路上に駐車した。スナック「かこ」では、訴外萩原は仕事をしていたが、訴外岩村はウーロン杯を飲んで、カラオケで歌を歌っていた。午後一一時半ころ、訴外岩村は、訴外萩原に無断で、店内のカウンターの上に置いてあった本件加害車両の鍵を勝手に持ち出し、本件加害車両を運転して宇田川家へ向かった。午後一一時四〇分ころ、訴外岩村は、本件加害車両を運転中に、宇田川家から約一〇〇メートル離れている本件交差点において、原告車の左側面に、自車を衝突させた。

(五) 本件事故後、訴外岩村は、原告に対して訴外萩原の名を名乗って、翌日の午前〇時五分ころ、スナック「かこ」に戻ってきた。訴外岩村は、訴外萩原に対して、加害車両の運転手として自分の身代わりとなってくれるように頼んだところ、訴外萩原は、物損事故だという説明を受けたことと、本件加害車両が訴外清辰から借りた車であり、それをさらに他人に貸して事故が起きたとは話しづらかったことから、身代わり犯人となることを承諾し、警察官の取り調べに対してもその旨供述した。しかし、その後本件事故が人身事故であることが判明したため、訴外萩原は、捜査官に訴外岩村が本件事故当時の真の運転手であったことを供述した。

2 右事実によれば、本件加害車両が被告の手を離れて本件事故に至るまでの経緯は、被告が訴外かね欽商事に本件加害車両を貸与し、同商事の従業員塚本が、同商事の経営者である訴外清辰の承諾のもとで、毎晩、訴外清辰の個人的な知り合いである訴外萩原に夜間のアルバイト先への通勤用に貸していたところ、訴外萩原の友人であり訴外清辰とも知り合いであって、無免許で飲酒していた訴外岩村が、訴外萩原に無断で、アルバイト先のスナックのカウンターの上に置かれていた本件加害車両の鍵を持ち出し、これを運転中に本件事故を引き起こしたというものである。とすれば、右のとおり、訴外岩村は訴外かね欽商事の従業員ではなかったこと、訴外岩村の本件加害車両の乗り出しは、被告はもちろんのこと、訴外かね欽商事の関係者、同商事の従業員である訴外塚本から本件加害車両を借りた訴外萩原の、いずれの貸与ないし承諾も受けない無断の乗り出しであったこと、訴外岩村の運転行為は、無免許でかつ飲酒の上のもので、その行為の違法性は明らかであったことからして、同人による本件加害車両の乗り出しは、被告の予期する本件加害車両の利用の範囲を超えて明らかに被告の意思に反しており、かつ、被告は、訴外岩村の右乗り出しにより、本件加害車両の運行を指示、制御し得る状況ではなくなったものというべきである。したがって、訴外岩村の本件加害車両の乗り出しによって、被告は本件加害車両に対する運行支配を失ったものと解するのが相当である。

3 これに対し、原告は、訴外清辰、訴外都、訴外塚本、訴外萩原及び訴外岩村の間においては、本件加害車両の使用を容認する関係が存在していたところ、本件事故は、かかる状況下において、加害車両を一時借用していた訴外岩村が、宇田川宅へ行くためにその近辺を走行中のわずか一〇分程度の間に発生したものであるから、被告は、依然として、訴外かね欽商事を通じて本件加害車両に対する運行支配を有していた旨主張する。

なるほど、前記1で認定したとおり、訴外清辰及び訴外都は、訴外かね欽商事の経営者として、訴外塚本は同商事の従業員でありかつ本件加害車両の鍵の保管者として、訴外萩原は訴外塚本から毎晩本件加害車両を借りていた者で、かつ訴外清辰もその使用を承諾していた者として、右四名については、原告が主張するように、本件加害車両の使用を容認しあう関係にあったと見ることもできる。

そして、訴外岩村は、訴外萩原や訴外都から本件加害車両を借りて運転したことがあること(甲一二)、前認定のとおり訴外岩村は、訴外清辰らと親交があり、相当期間にわたって同人宅に寄食していたことの各事実に徴すると、訴外岩村は、本件加害車両の使用を、訴外清辰、訴外都あるいは訴外萩原から、少なくとも黙示に容認されていたと見られないではない。

しかし、右事実は、訴外岩村が本件加害車両を運転することによっても、訴外かね欽商事がその運行供用者性を失わないことを示唆するものといえても、前認定の訴外岩村と訴外清辰らとの関係、本件加害車両運転の経緯、本件運転行為の態様等を斟酌すると、被告にとって訴外岩村の本件運転行為が、予期できず、かつ、被告の意思に反するものであることに変わりなく、被告が本件加害車両の運行支配を有していたことを窺わせる事情とは認められない。

ところで、原告は、訴外かね欽商事が本件加害車両の運行供用者である以上、同訴外人に本件加害車両を代車として提供した被告も運行供用者であると主張し、前説示のとおり同訴外人がその運行供用者性を失っていないことが窺われる。しかし、車両を借り受けた者が当該車両の運行供用者であったとしても、これを提供した者が自動的に運行供用者となるものではなく、車両提供者が当該車両の運行供用者であるかどうかは、個別的に判断すべき事柄であるから、原告の右主張には理由がない。

なお、被告は、本件加害車両を訴外かね欽商事の従業員ではない訴外萩原に直接交付していることから、訴外かね欽商事以外の第三者が加害車両を運転することを容認していたと見られないわけではない。しかしながら、本件加害車両の代車としての貸与先は訴外かね欽商事であること及び右の事実から、被告は、訴外かね欽商事の役員及び従業員並びに訴外萩原が本件加害車両を運転することを容認すべきであることは明らかであるとしても、前認定の事実によれば、訴外萩原は訴外かね欽商事の使者として代車の交付を受けたものと認められ、右範囲を超えて訴外萩原の知人で、無免許、飲酒中の者が無断で運転することまで容認すべきであるということができないから、被告が本件加害車両を訴外萩原に直接交付した事実をもって訴外岩村の運転につき運行供用者性を認めることができない。

以上により、被告は本件事故当時、本件加害車両についての運行供用者たる地位を失っていたのであるから、自賠法三条の適用を求める原告の主張は理由がない。

二  民法七〇九条の責任

原告は、被告が本件加害車両を代車として提供した以上、あらゆる事故を起こさないよう監督すべき義務を負っていたにもかかわらず、これを怠った過失がある旨主張するが、前記一1で認定した本件事実関係に照らし、原告が右義務を負っていたと認めるに足りない。

三  以上によれば、原告の本件請求は、被告の責任を認めるべき理由がないから、その余の点について判断するまでもなくこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官南敏文 裁判官竹内純一 裁判官波多江久美子)

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